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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第159号        ’02−11−08★

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     過労死・過労自殺

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   ■当初から<問題を起こすのは人間>、中でも責任的地位にある

    人が賢くないと困る、という趣旨は一貫して来たつもりですが、

    どうやら状況は悪化の一途。

 

    <死ななきゃ治らない>レベルの、即ち露骨に言えば<死んで

    頂きたい>ような<上>が、真面目な、しかも先のある人々を

    <死なせて>いる。 

 

    10月16日のNHK1、クローズアップ現代<急増 30代

    の過労死、過労自殺>、、

 

 

●過労死の例に出された

 

36歳の男性は、空調機器メーカーの修理担当者。 社員900人から

40〜50代300人がリストラされ、彼は北海道の営業所へ移された。

 

以前は3人がかり、それでもヒイヒイだった、と証言される北海道ほぼ

全域、約1千カ所を彼1人で飛び回(らされ)ることに。 夫人の記録

によれば、

 

呼ばれて深夜12時出動、朝5時帰宅、それでも7時20分出勤、とか

明け方出動、深夜帰宅、翌朝は通常勤務。 休日も出勤して深夜帰宅、、、

 

営業所は前から赤字。 サービス低下でさらに客を失うことは許されず、

しかし「修理は儲からないから、、」補充無し。 なら彼に、励ましや

支援や感謝が捧げられそうなものだが、

 

支店長(放映のまま。 所長?)から、しばしば「仕事が出来ないのは、

脳(放映のまま)力が足りないからだ。 出来ないなら仕事をやめろ」

など叱責されていた、と証言されている。

 

盆休みもケータイは ON のままにさせられ、冬は15分で体が動かなく

なる気温氷点下の屋外作業。 身も心も消耗して転勤後1年、脳内出血

のため取引先で倒れ、意識不明1週間の後死亡、、 となると

 

 

これはもう<殺人>。 もちろん彼は<辞める>ことも出来たはずだが、

そう彼がしなかったからと言って、会社が労基法その他の<法>を犯し、

上司が<叱責>でムチ打ったことが正当化されるものではない。

 

しかも彼が未だ奮闘していた頃、他の営業所で30代社員の脳内出血死

が発生しており、それがその上司にも伝わっていたろうに、彼が倒れる

直前「3月の残業時間は法定の3倍」だったそうだから、むしろ確信犯

的に過重労働を強いていた、と言える。

 

  <そうしないと成り立たない会社>とは、社会的には必要とされて

  いない会社、即ち無くても良い会社、あるいは無くなった方が良い

  会社、むしろ無くすべき会社、でしょうな。

 

<空調機器>にメンテナンスは必須、季節の始めにはお呼びが集中する。

それらを WANT に織り込んでサービス体制案を選定し、PPAで補強を

かけ、、 がビジネス。 <赤字解消>や「儲けたい」は、販売体制に

関わる WANT ではあっても、<1人1千カ所体制>にはつながりません。

 

<彼>における遺憾は、<物理的不可能>に敢えて挑んでしまったこと、

ビジネスの本質を平然無視するような<会社>に忠誠を尽しすぎたこと。

 

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●過労自殺の例として出された

 

のは32歳の通信機器メーカー営業マン。 「会社にはタイムカードが

無く、時間外手当も支払われていなかった」のは営業系の職場ゆえかも

知れませんが、<良いマネジメント>ではあるまい。

 

「ノルマを達成しないと収入が増えないシステム」になっていたという

が、果たしてそれが「不況で売り上げが伸び悩」んだのを克服するのに

最適な案だったかどうか。 むしろそのため、

 

「みんな自分自身のことで精一杯」になり、同僚も「彼がそこまで追い

詰められていたとは気付かなかった」。 下手な<成果主義>が周囲へ

の心遣いや応援の余裕を失わせる、、 よくあることです。 

 

すでにその職場では過労やストレスで2人倒れており、その分で負担が

増していた。 しかも何と「見積書を作っても上司の決裁が得られない。

会社方針は価格のつり上げ、所属長に突き返される」由。

 

そのため「頭が真っ白、、」。 業務報告にも、「他社の低価格受注に

対して手が打てなかった」と。 ノルマ達成は Impossible Dream。

 

すると上司は、「何やってるんだ。 やり方がオカシイんじゃないか」。

その精神的圧迫で「毎日足が地に着かない思い」だと書き残している。

 

彼の死後、会社は、「出来る限り仕事を分担し、夜は原則10時までに

帰宅せよ」と通達(! まるで役所)した由。 何もワカッテナイ証拠。

 

 

注文を<取れ>、と命じながら現実には<取らせない>、オカシイのは

<上司>の方。 二律背反を強いれば部下は動けなくなるだけ、のマネ

ジメント常識すら無いのか、

 

まるでイジメっ子のやり口。 相手が刃向かわないと見越して、という

ところも。 そんなのを<上司>の地位に置く会社はバカだ、と思うが、

世間ではそれがフツーかも。

 

その忍びがたきを忍ぶ理由が別にあればともかく、こういうのを相手に

ガンバっても無益。 自殺直前、<彼>は妻の腰に泣いてすがり付いた

そうですが、「そんなことしないで、、」でおしまい。

 

  私がそうしたら我が女房、アッサリ突き放さないでくれるかしら?

 

かくて辞めるキッカケが掴めぬまま、ついに<彼>は<人間を辞める>

ことに。 気の毒。

 

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●これまで過労死や自殺の

 

主人公は高年者。 それが<30代>とは、何故? 要するに「出るも

地獄、残るも地獄」、高年者のは<出た>方の、30代のは<残った>

方の。 お釈迦様の教え<苦諦>さながらです。

 

 

英語 restructuring は建設的、積極的な目的での<再構築>でしたが、

カタカナ語<リストラ>は首切りと同義。 哀しくも破滅的、後ろ向き

な印象に定着したのは文化の違いゆえ、でしょうか。 

 

もちろん<建設的>でも、不採算部門の切り捨てなどで解雇はあり得る。

が、好採算事業の強化や新規事業の展開にも挑むべし。 もし経営者が

雇用を本気で守るつもりなら、そうした転用で削減数を極力抑えるはず。

 

だが<破滅的>文化に<本気>無し、仕事はそのまま<人員削減>だけ、

人件費を切り詰めたいだけ。 その口実としての「組織改革!」だから、

さながら古典的ビジネス・ジョーク <Three envelopes> 的。

 

  業績不振の責任を負わされて辞めることになったCEOが、後任者

  にナンバー付きの封筒を3通、手渡して言う。 「窮地に陥ったら、

  順に開封したまえ」

 

  新CEOは景気回復の幸運に恵まれ、業績向上、、 と見えたのは

  僅か半年、急速な売り上げ低下に見舞われて立ち往生。 大非難を

  被り、困り切って思い出したのが前任者の贈り物。

 

  早速取り出してその1通目を開く。 と、「前任者を徹底的にこき

  下ろせ!」のアドバイス。 そこで記者会見を開いてコキオロシを

  実行したところ、その記事が歓迎されて株価も売り上げも上昇、、

 

  しかし、その効き目も1年。 今度は売り上げ低下に加えて品質の

  トラブル、こりゃイカン。 で2通目を開く、と「組織改革!」

 

  なるほど! で実行すると、幸い業績回復。 以後好調な四半期が

  何度か過ごせたものの、、 またもや深刻な事態に。 彼は社長室

  に籠もり、ついに3通目を開封。 と、「3通の封筒を用意せよ」。

 

これは<経営者が責任を取らされる文化>での笑い話ですが、我が国は

<痛みは社員に押し付け、自分は厚かましく、、>の文化。 つまり

 

我が国の現実はジョーク以下。 世の中明るくならないのは<無責任>

がノサバッテいるからです。

 

*   *

 

ヘンリー・フォードいわく、

  「不況期」においてさえも、繁栄のあらゆる要素は存在している。

  だから、ここで考えねばならないことは、管理さえ適切にやれば、

  「不況期」を迎えねばならない理由は毛頭ないということである。

          東洋経済新報社 (1968) <フォード経営>p.21

 

事実、このご時世にも長らくの本業で利益を挙げている企業はあります。 

即ち、前記2社にはマネジメントが無かった、ということ。 リストラ

するなら一罰百戒、そんな程度にしか頭を使わなかったトップや、その

息のかかった<無責任>どもを手始めに追放すべきでした。

 

  そういう仕組みが無いから、<ジョーク以下>でしかあり得ない、、

 

過労死者遺族のアンケートでは、その直前に会社がリストラを実施して

いたというのが57%。 <月当たり80時間以上の残業は危険信号>

だそうだが、現実には20%の人がさせられており、中でも<30代>

の時間数増加率が突出している、由。

 

人件費削減の手段はほかにもあるだろうに、今なら出来る、しても悪評

は立つまい、かどうか安易に<リストラ>する。 それで一人当たりの

負担が増すことくらい分かるだろうに、無神経。

 

その結果生じた<残った方の地獄>をいくつか知ってますが、それ以前

も決してヒマでなかったところへ負担急増。 この人数で、どうやって

コナすんですか? と<上>に訊けば、

 

「それを考えるのがお前の仕事だ」。 アップアップの上に<考える>

仕事まで載せられてしまう。 じゃ、とアウトソーシングやIT化など

提案すれば、「そんな金どこにある?」。 

 

かくてマジメ人間は追い詰められ、連夜の時間外労働。 だが<時短>

で<残業>は認められない、で結局<サービス>。 EM法研修の実務

課題でも定番、嘆きのテーマでした。

 

*   *   *

 

平成10〜12年は横這いだった<認定>過労死者数が、13年度には

7割増、14年度はそのまた5割増。 中で<30代>の増加率は他の

年齢層の1.5倍。

 

また同期間、<認定>過労自殺者数も3倍増。 当初0の<30代>が、

13年度は30件中10件。 12年度は20件中2件だったのだから、

この増加率も突出的。 

 

しかもそれらは<認定>数、即ち氷山の一角、、 実情がどれほど恐る

べきものか、就職したがらない学生が増えるのもやや道理です。

 

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●能力発揮、自己実現の場であるべき

 

企業社会を明るく力強いものにするには、従ってマネジメントの確立が

必須。 前記2例における上位者たちも、たとえば

 

DAシートで検討していたら、ずっとマシな案を採ることが出来ていた

だろうし、些か(どころではないが)無理な彼らの案を実行するにして

も、PPAで備えていたら死者は出さずに済んだはず。 

 

<上>に対しても Rational Process 的にアピールしていたら、よほど

話が通じやすかったろうし、<上>の見当外れな注文付けを避けること

も相当に出来、相互理解が促されたに違いない。

 

  こんな話があります。 「メールでお願いした件、何もして下さら

  ないんですか?」と恨みっぽく言われた上司、驚いて読み直したが、

  やはり<依頼>と読めるものではなかった、由。 人にものを頼む

  なら、そう分かるように書けよ、、と。 そこで

 

  部下の表現力を高めるには? となれば、まず Rational Process。

  何が何して何とやら、は分析シートで添付し、本文は「〜をお願い

  します」だけ、、 とすれば、意図不明な文章にはなりようが無い。

 

*   *

 

高い業績は良き人間関係から、良き人間関係は良きコミュニケーション

から。 当事者の片方が100%悪い、ということは滅多にありません。

公平を保ち不幸を避けるには、まず良きコミュニケーション・ツールの

活用から。 もちろん Rationa Process がお勧めです。 

                          ■竹島元一■

   ■今週の<私の写真集から>は ★テアナウ夕景★

 

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